風立ちぬ
所用があり、祖母の家で映画鑑賞して留守番してもらうことになった。
翌日から紙飛行機作りは始まり、日の丸を掲げたデザインになる。
「でも日本の国旗ってやっぱりかっこいいよね」と10才長男。
戦争をした国旗という洗脳を左寄りの両親に植え付けられた私は残念ながら純粋にそう思えないところがあるのだけど、そのときはふと自分の国の国旗を誇れるというのはいいことだなぁと感じたので、そのまま息子に伝えた。
そして続けて彼は言う。
「こんなんで飛んでってどうやって攻撃するの?爆弾積んでたの?」
「飛行機は一機も戻らなかったって言ってたでしょ?」とわたし。
「え?」
10才の長男がこれだから、7才、5才には分かるはずもなく。また折に触れて見返すときがくるのだろうなぁと思う。
爆弾など積む予定すらなかったこと。帰りの燃料すら調達する予算も力も日本軍にはもう残っていなかったらしいこと。その飛行機を操縦するのは貴方たちと10才と変わらない少年たちであったこと。名指しされれば決してそれは断れず、町中から笑顔で盛大に見送られ、母へ「先立つ不幸をお許しください」と手紙をしたためる。そのまま爆発して終わり。
「何でそんな戦争は止められなかったんだろう」
息子の疑問は至極真っ当。
「でも今もあまり変わらないよ」とわたし。
やりたい人間がいるから戦争は起こり、続いた。
ウィルスに侵されているとしたいから続いている。やめたいと思う人が多かったらこんなことにはなっていないかもね。
戦争だってやめよう馬鹿げてると言ってた人たちは居たはずだけど。
「たしかに」って。